群馬県南牧(なんもく)村に行った際、一緒に行った友人が美味しいと勧めてくれたのが、この「森林のお炭つき饅頭」なるお饅頭。土産として、買ってきた。
権威ある人などの承認や保証を得ていることを意味する「お墨つき」をもじって「お炭つき」。誤字ではなく、これ炭を使った饅頭なのである。
なんもく村のご当地食材として、注目されているのが食用の炭。2002年、南牧村森林組合が間伐材の活用法として炭を食品にするアイデアを考え出し、焼いて木炭にした後、すりつぶして細かい粉末にする技術を開発。村内の飲食店に紹介したことで、ラーメンやピザなどの炭グルメが登場している。この「森林のお炭つき饅頭」もそんな”なんもく炭グルメ”のひとつなのである。
なんもく村のゆるキャラ、なんしぃちゃんのカラフル具合とは裏腹に、箱を開けると黒い饅頭がぎっしり。ただ、黒いとは言え完全なるまっ黒ではなく、また、薄皮の艶ゆえに単純な灰色とも形容しがたく、青みがかった黒銀とでも言うべきか。物珍しさよりも、観ても楽しめる和菓子としての上品さを感じる。というか、何ていうか、食べ物に対する表現として、おかしいかも知れないけど、かっこよくないか?この饅頭!
炭とは言え、粉炭に加工しているため、炭の食感はまったく無く、もちろん、燻したような風味やえぐ味など炭っぽい味がするわけでもない。と言っても、炭の味っていうのはそれ自体食べたことがないので僕自身よくわからないけどね(笑)
ただ、食べてみると思いの外さっぱりしていて、それが炭の効果なのかも知れない。
しかし、このお炭つき饅頭、そもそも饅頭として美味しい。餡の甘さは控えめであることに加えて、何より特筆すべきは、餡の中に入っているチーズである。沢山入っているわけではないが、このチーズのミルキーな塩っぱさが餡の控えめな甘さを引き立てている。これはいい。
前回の投稿で紹介した通り、昔から林業もさかんだったなんもく村。それゆえに、間伐材の利用した食用炭のアイディアが出ること、それを地域おこしに活用してゆこうという流れにもおおいに合点がいく。
しかし、考えてみれば、なんもく村にかつての多くの富をもたらした蒟蒻、蒟蒻芋からコンニャクを作る際にも、現在では水酸化カルシウム水溶液を使うらしいが、昔は草木を焼いた灰を水に溶かしたアルカリ性の水を利用していたんだよな。
※木を燃やす際、炎が立たない程度に酸素を供給しある種の蒸し焼き状態で作られるのが炭。酸素を際限なく供給し、完全燃焼させて燃え尽きさせて出来るのが灰。
そう考えると、前回の記事を書いた際には気づいてはいなかったが、蒟蒻芋の生産加工と林業は、非常に密接な関係にあり、ともに産業として栄えていたのは、理にかなったことだったんだろうなと想像を拡げている。
菓子処 信濃屋嘉助、ネット通販はやってなさそうですが、機会があったら是非、「森林のお炭つき饅頭」食べてみてください。
❏ 菓子処 信濃屋嘉助 ❏
http://shinanoya.nanmokushoko.com/
店名 菓心処 信濃屋嘉助
設 立 明治10年
代表者 金田征之
所在地 群馬県甘楽郡南牧村磐戸160番地
電 話 0274‐87―2322 (営業時間8時~18時)
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