だいぶ前、アルバムレビューを書いて紹介した
ラウル・ミドン(Raul Middon)の来日公演に先月末行って来た。
生粋のラウル好きの友達から
誕生日プレジェントということで
誘っていただきました。ありがとう~。
CDで聴くのとはまた違った白熱の演奏。
オススメできるライヴでしたよー。
盲目のギタリストであるラウル・ミドンですが、
凄く陽気な人で、かつ、ギターの腕前は超絶。
五感のひとつが失われると、他のセンスが研ぎすまされるなんて
よく言われるが、この人、そもそも凄く努力したんでしょう。
彼のギター技は、もはやセンスの領域を超越しています。
フィンガリングによるエレアコギターで、
スラップ
タップ
ラスゲアード
リズム奏法
なんかを高速でやってのける姿は
まさに一見の価値あり。
僕はパフォーマーじゃないからこその意見として、
ライヴ観てすげーって思えるアーティストって
素晴らしいなぁと思うんだが、
変な演出に頼らず、ギター一本、マイク一本のソロで
あそこまで魅せられるアーティストはなかなか居ないだろう。
それを最前列、しかも真っ正面(チケットの予約番号No.10&11! すげー!!)
で観れたのだから、大感謝です。
眼前で観るラウルのギター裁きに正直圧倒されました。
wikiで調べたら、父はアルゼンチン、母はアフリカ系アメリカ人。
タンゴ×ブラックミュージックってことで、
グルーヴゲノムはかなりのもんですな。
ちなみに、wikiにはギターをひっぱたいてパーカス代わりにする技を持つって
さぞかしラウル・ミドン独特の技のように書いてあるけど、
ギター(特にフラメンコ)の一般的奏法のひとつだな。(リズム奏法)
まぁ、あそこまでボディを強くひっぱたいたり、
その音を拾い易いように中低音を若干ブースト気味にしてたっぽいから
彼らしい技のようにも解釈できるけど。
(中低音をブーストというか、ギター一本でリズムと和声を全て表現する
ために、通常のギターEQに比べて、トータルEQに近づけていた気がする)
歌の方は超ソウルフルで、ボイスペットなんかも鮮やかに決まってて
聴いていてとても気持ちがよかった。
前述の通り、非常に陽気な人だし、インペグ屋や、適宜ステージに
登場して眼の見えない彼をサポートするマネージャーらしきイケ面男との
漫才的やり取りもほのぼのとしているが、
やはり、これだけのSOULがにじみ出るに、
アーティストとしての感受性の高さゆえに抱える哀怒は
きっと計り知れないんだろうなぁとつくづく思う。
人間の感情なんて、量ではなく質の7割くらいは
哀しみか怒りの部類だろうと思うし、
表現者としてのアーティストはそれが源泉となって表現するわけで、
残りの3割だけで、あんだけの歌は歌えないだろう。
ラウル・ミドン、次回いつ来日するのかわからないけれど、
是非、興味を持ったらライヴに行ってみて欲しい。
決して近距離で鑑賞するだけがいいのではなく、
遠距離で聴けば、逆に神々しくみえるらしい(姉貴談)。
CDで聴くより、生を観るべきアーティストだね。
でも、予習した方がよいので、CDも聴いてみて欲しい。
Manhattan Records (2007-08-20)