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機材を長持ちさせるコツ

もうあれから1ヶ月も経ちますか。

こちらで書いた通り、愛機のRME FIREFACE800を修理してもらった際、
修理工場の方に大事に長く使うコツを教えて貰いました。
FIREFACE800はもちろんのこと、恐らく基盤を積んでる電気製品は
全般的に当てはまるようにも思うので、ここは共有しとこうと思います。

まず、前提としてお話しておくべきことがあります。
僕はコンピュータや機材を仕事で不自由の無い程度には使いこなしていますが、
ハードウェアの中身の、いわゆる技術工作的なことは全然解りません。

今はどうか知りませんが、僕の頃は男子中学生は一般的に「技術」という科目で
ハンダづけをしたりする授業があったと思います。でも、僕の通っていた学校では
「技術」の授業は無く、その分、音楽・美術・書道に授業コマ数が割り当てられていました。
だから、ハンダづけも1回くらいしかやったことがありません。
あれでしょ、固めるとメタルスライムが出来ちゃうやつでしょ?(笑)

そういう僕が解釈できた範囲の話であるということを前提に、読んでもらえればと思います。

********

まず最初に、要点を先にお伝えしてしまいます。

機材の経年劣化と言っても、
具体的に何が劣化するかというと、

■ 電解コンデンサ
■ ハンダ

代表的なものはこの2つだそうです。

これ、交換により役目を全うした電解コンデンサと、周辺のプラグです。

そして、これらのパーツを長持ちさせるポイントは、

● 常温下を保つ温度管理
● 湿度を低く保つ湿度管理
● 正しく安全な通電状態の保持

のようです。
この中でも、温度管理がパーツの寿命と直接関係していて、
肝心なのかなという印象です。

詳しくみていくと、
電解コンデンサとハンダのそれぞれの性質と劣化の仕組みを説明します。

///

<<パーツの性質と温度管理>>

【電解コンデンサ】
明確な寿命がある。
パーツメーカーが提示しているのは
1000時間から7000時間、長くて10000時間。(極限状態で使い続けた場合)
実際の使用ではもっと長くなるが、必ずいつか寿命は尽きる。

この電解コンデンサは電解液を浸した紙を二枚のアルミ箔で挟んだ構造になっていて、
使用しているうちに、電解液が徐々に減少、乾いていくことで性能が低下する。
これをドライアウトと言うそうですが、そのスピードは温度に関係し、
使用環境温度が10度下がると寿命がほぼ2倍、20度下がるとほぼ4倍になる。
また、コンデンサに出入りする電流が半分になると4~5倍寿命が長くなったりするが、
機材の使用において、電流量を低下させる(コントロールする)ことは現実的でないため、
温度管理が重要となる。

【ハンダ】
近年のハンダは、ほぼ錫で出来ているが、錫は他の金属を自己内に拡散する性質が強く、
主に銅が中心の基材と接触して、その接触面が、合金化する。
ハンダ付けされた後も、その拡散(合金化)はずっと進行するが、
銅の中に錫が拡散する速さより、錫の中に銅が拡散する速さの方が圧倒的に速いため、
もともと銅があった場所に空洞ができ、大きくなるとひび割れ等の原因になる。
この現象をボイドと言う。また、銅以外の不純物が混じっていても、同様の現象が生じる。
よって、見た目はきれいなハンダ付けでも、実はハンダの内部にヒビが出来ていて
電気信号が導通していないことが生じたりする。

これは、ハンダ付けを上手に行うことで改善することが出来、
うまく処理すると20年は保つが、やはり温度が高いと劣化進行が速くなる。
その一方で、逆に錫は温度が低すぎると粉体になる性質があるため、
常温、人間が生活できる温度あたりが適温である。

///

以上のように、電解コンデンサもハンダも、使用環境下の<温度管理>が大切であるそうだ。
もちろん、電源を入れているだけで発熱はするので、いかに放熱するかがポイントみたいだ。

///

<<湿度管理>>

湿気も要注意のようで、大気中に微量が含まれる二酸化硫黄(亜硫酸ガス)、
これは火山活動のみならず工業活動によっても発生し、環境破壊の一因になっているものだが、
湿気があると、二酸化硫黄と水が反応して希硫酸となり、金属を腐食するそうだ。(酸性雨と同じ原理)

///

///

<<通電状態の保持>>

以上のようなことから、温度と湿度の管理をきちんとしていれば、
電源が入ったままの方が長持ちするそうだ。
この明確な理由はわからなかったが、想像の上では何となく納得できる。

通常、ノイズは電気をONするタイミングで一番発生し得るものということもあるし、
通電状態を保持することで、巧く通電しないという状態にしにくくするのだろう。

実際、以前の職場でもプログラマーを始め、開発スタッフからよく聞いたのは
「マシンの電源を落としたくない。マシンがトラブるのはだいたい、
マシンの電源を入れた直後だったり、マシンがサスペンドから復帰する時じゃん?
だから電源を落とさない方がいい。」という話。

また、アースをきちんと取り、コンセントのプラスマイナスを正しく接続し、
過分な負荷を防ぐことも大切なのだそうだ。

///

以上が修理工場の方に教えてもらったこと。

通常の使用では5~6年が経年劣化の目安だそう。
今回の故障はまさにこのタイミングなのではないか?とのことでした。

さて、その上で、僕は以下のような対策をとってみたいと思いました。

今までこうやって使っていたラック。

まず、右に隣接している、マイクプリのDBX 286Aが
こいつがなかなか発熱量があるんです。
おまけに、全体が熱を保持しやすい黒の筐体。

こいつは、今とは全く制作環境が異なる頃から使っていたもので、
今はFIREFACE800のマイクプリの方が優秀だし好みなので、
スタメンから外すことにしました。

そして、左の、優秀なパワーディストリビューター、
FURMAN PL-8 SERIESIIとも距離を置いて、風通しを確保。

ラックをずいぶんと贅沢に使っちゃってますが、
正直、今後、ラックサイズのハードウェアを買い足すことなんて
今のところ予定は無い…ので、当面これでいいでしょう。

そして、パワーディストリビューターは常時電源ONとともに、
最低限、FIREFACE800も、基本的には電源を落とさない方針にしました。

もちろん、エコノミー、エコロジー両面から、
使ってない時は電源はOFFった方がいいに決まっています。
でも、FIREFACE800は全部の音の入出力系統を束ねてる機材なので、
そもそも、マシン(Mac Pro)が稼働してない時でも何らかで使っている。

僕ら、〆切仕事をしている身にとっては、ともすると、機材トラブルは
仕事が吹っ飛ぶ=信用も吹っ飛ぶという致命的なリスクに直結するので、
もの凄くナーバスになることなのです。

ただ、さすがにMac Proをずーっと電源ONにしておくのはどうかな?と思うので、
せめてFIREFACE800は電源入れっぱなしにして、
他の主要機材にも最低電気が常時供給されているように
パワーディストリビューターもONのままにしとこうと思います。

僕のスタジオのように一般住宅のレベルではアースをきちんと取りたくても
なかなか難しいので(大掛かりな工事になってしまうので)、
せめて、コンセントのプラスマイナスを正しくつなぐようにしようということで
今一度、プラスマイナスのチェックをしました。(この程度は、当たり前の話なんだけどね^^;)

以上、長々書いてしまいましたが、機材を長持ちさせるためのコツと、
僕の採ってみた傾向と対策でした。
久々に話がマニアックすぎ?

何らか、みなさんにとっても有意義な情報があれば嬉しいです。

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