前記事に引き続き、初音ミクV3に付属の、ボーカロイドをVST/AUインストゥルメントとしても使える「Piapro Studio」と、
YAMAHAから発売の同様機能を持つCUBASE専用「Vocaloid Editor for Cubase NEO」(ボカキューNEO)と、
両方を介して初音ミクV3を使ってみて、ワークフロー面での比較をしてみました。
前記事では、動作について比較をしてみました。
次に、作業中の、CUBASE側↔ボーカロイド側との行き来した際の使用感の差異はどうなってるんだ?ってことで。
なにせ、Piapro Studioも、ボカキューも、
「DAW上でインストゥルメントとして走ることでボーカロイドをいじりながら並行してトラック制作も出来る」
ことを売りにしていて、それこそが従来からのボーカロイドユーザ待望の機能だったわけですし!ということで。
- CubaseのMIDIエディターと連動したボカキューNEO。
ボカキューNEOの大きな売りのひとつでもあり、Yamaha×Steinbergの為せる技ですが、例えば、ボーカロイドのDynamicsパラメーターはCubase側のExpressionに対応しています。ですので、歌詞を入れて、シンガーの設定を済ませてしまえば、ノート単位のアタックやビブラートのコントロール以外は、ほとんどCubase側で済ませることが出来ます。ボーカロイドのノートや各種パラメーターをCubaseのMIDIエディターで操作可能な点は制作上、想像以上に便利です。 - Piapro Studioは実質上Rewire的に立ち上がっているのにやっぱりPluginに過ぎないが故の仕様的煩雑さ。
Piapro Studioが実装されているCubaseプロジェクトを立ち上げると、CubaseよりもPiapro Studioの方が手前にactiveになる為、一旦のPiapro Studioのエディターウィンドウを閉じないとCubaseを操作出来ない。ウィンドウ自体はCubaseが手前に来ているのに、OSのメニューバー上ではPiapro Studioがactiveになっている。しかも、Piapro StudioはあくまでDAW上に立ち上がるプラグイン。ソフトとして立ち上がっているわけではないので、例えば、⌘+tabでOS上のソフトウェア切替が効かない。 - Piapro Studioのエディタウィンドウは、Piapro Studioのプラグインウィンドウから立ち上げる必要あり。
前項目と関連した話ですが、Piapro Studioのエディタを立ち上げるには、何の変哲もないプラグインウィンドウをクリックする必要があります。この余計な1アクションが実際のところ、とても面倒です。
- 途中でのシンガー変更は、Piapro Studioの方が楽。
制作途中でシンガー変更をする際、ボカキューNEOはVocaloid VSTiを再実装する必要がありますが、Piapro Studioの場合はそういった手間は必要ない。 - コーラスアレンジの際、Piapro Studioの方が馴染み易いかも。
慣れの問題だと思いますが、ボーカロイドデータをPiapro Studio内で一元管理できるため、GUI的にやり易いかも知れません。
- Cubase上でボーカロイドパートの歌詞付きMIDI書き出しが可能なボカキューNEO。
Piapro StudioもボカキューNEOもMIDIファイルの書き出しは出来ません。しかし、ボカキューNEOの場合、連動したCubase側のMIDI書き出しをすると、歌詞付きのMIDIファイルが生成出来ます。それをSibelius等のスコアライティングソフトに読みこめば、すぐボーカル譜などが作れます。これはでかい!仮々歌(=仮歌のさらに仮歌)をとりあえずボーカロイドで作ってみて、生身の人に仮歌を入れて貰ったりするのに、かなり重宝。
と、ボカキューNEOもPiapro Studioも、長所・短所あると思ったのですが、
ワークフローを考えると、やはり相互の連動性を徹底追求して作られたボカキューNEOが圧倒的に良いという感触です。
(今後のバージョンアップで様子は変わる可能性はありますので、ご了承下さい。)
藤本健さんのDTMステーションで、Vocaloid Editor for Cubase(NEOになる前のWin専用だったVer.)発売時に
ボーカロイドの生みの親である剣持秀紀氏(ヤマハ株式会社)のインタビューが掲載されていました。
10年越しというのは、そうです、初音ミク(Vocaloid Ver.2)なんて出る前のVocaloid Ver.1シリーズの頃からということですね。
Vocaloidの最初の商品、「Vocaloid LEON」を発売前に予約して買った僕も感慨深いです。よくぞこんなに使い勝手がよくなり、また、打ち込んだだけでも、それなりに歌ってくれる音源になったなぁと。
とちょっと脇道に逸れましたが、次の記事でまとめをお伝えしようと思います。
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