今月10月16日から11月23日にかけての6週間に渡り、ニューヨークのレッドブルスタジオにおいて「Write of Passage」展が開催されている。
先日ご紹介した「Art Sale」のバンクシー(Banksy)に代表されるような、エアゾルスプレーを使った壁面アートなどの現代のグラフィティは、正確にはアメリカン・グラフィティと称されるもので、1970年〜80年代頃のニューヨークで生まれた。当時のニューヨークと言えば、根深く残っていた人種差別や貧富の差ゆえに、マッドマックス時代と形容されるほどの劣悪な治安であった。(この辺の話は様々な映画などでも描かれてますよね)
そんな危険と抑圧と閉塞の環境化で、黒人やヒスパニックの若者たちのエネルギーがヒップホップミュージックやストリートダンス、そしてアメリカン・グラフィティを生み、それらが相互の影響を及ぼし合いながらヒップホップカルチャーを作り出していった。
ヒップホップという言葉を作ったアフリカ・バンバータの「Planet Rock」のPVを観ると、その様子がありありと伝わってくる。
さて、この「Write of Passage」展では、そんなヒップホップカルチャーの重要な要素であるアメリカン・グラフィティの歴史と、それがいかにグローバルカルチャーへと成り上がっていったかを、パネル展示、ワークショップ、映像上映などを通して知ることが出来る。
こちらに、Write of Passageによる、Exploring American Graffitiというビデオクリップ。
1分半で、アメリカン・グラフィティの歴史をまとめたものだが、
スプレーの噴射音とスプレー缶を振った時の音がサンプリングされて使われているのが可愛い。
ところで、広義でのグラフィティというと、その歴史は古代にさかのぼり、壁や建造物の柱などに文字や絵図を刻む行為は人間の原始的な行為なのだろう。実際、graffitiの語源はイタリア語で刻むという意味の”graffiato”に由来すると言われ、ギリシャやローマ、ペルシャなどに代表される地中海沿岸に花開いた古代文化の名残りのようなものを伺うことが出来る。
同様に、アメリカン・グラフィティやヒップホップの歴史を知ると、その文化的背景、すなわちその時代、その環境に生きた人間を知ることが出来る。
「Write of Passage」展ではここまで遡った話は語られてないだろうが、果たして、現在、世界に拡まったストリートアートとしてのグラフィティと、古代人が恐らく信仰心の強さゆえに石壁に刻んだ十字架のグラフィティとの間に、何か通じるものはあるのだろうか?
そういった話を踏まえて、先にも触れた、こちらBanksyの「Art Sale」の記事を改めて読んで頂くと、思考の深度も少しばかり深まるのではないかなと思います。
最後の方はなんか散逸した話になっちまいましたが、今日はこの辺で。
ああ、「Write of Passage」展、観に行けるもんなら行きたいぜよ!
日本にも来ないかしら?!
http://massappeal.com/writeofpassage/
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