川崎和男氏、医学博士にしてアートディレクターである氏のプロジェクト名。
氏は人工心臓のデザインに始まり、グッドデザイン賞の審査委員長を務めたり、
最近では氏のデザインした眼鏡を米大統領選の共和党副大統領候補のサラ・ペイリン
アラスカ州知事が愛用しているということもあって、デザイン業界の人でなくても
名前を知る人も多いと思う。
http://www.design.frc.eng.osaka-u.ac.jp/kazuokawasaki.html
やはり、川崎氏の根底にあるのは、氏の言葉をそのまま借用すれば、
“デザインは長らく、製品の購買意欲をそそる「欲望の刺激装置」となってきた。
しかし、デザインとは付加価値ではなく、本質価値である。”
ということなのだろう。
Simple is the best.
なんて言葉でしばしば形容されがちな”単純なのがいいじゃん”とは全然ちがう。
本質、そこには意味が詰まってる。
ミニマルという、アート手法があって、
ミニマルミュージックなんてのも、聴く機会がどっと増えているのだけど、
坂本龍一氏の作るミニマルを聴くと、これと同じ感触を持つ。
必要最小限の音楽構成要素から作られるのがミニマルミュージックなわけだけれど、
坂本さんのミニマル音楽には、必ず要るという響きの意味が詰まっているように思う。
そんなことを考えていた僕は、こないだRockを作っていたかと思ったら、
これまた、こういう場ではどういう作品でどこで聴けるのかは一切口外出来ないが、
僕の中ではわりとminimal(というジャンルには全く入らないが)寄りで
アンビエント色のある曲を2曲ほど書きあげた。
クライアントからokが出るといいなぁと期待。
最後に、
“Peace Keeping Design”
紛争地域における問題、衛生問題、貧困問題、感染症問題、環境問題など、
地球規模の解決困難な問題にデザインを以って立ち向かうというプロジェクトコンセプト。
度重なる運用失敗のPKO(国連平和維持活動)、軍事力をもって制圧するPKF(国連平和維持軍)は、
支援を受けているはずの人々にとって、かえって恐怖と憎しみの対象となってしまっていることを
受けて、川崎氏が提唱したものだ。
一言で言って、かっこいい。
医療未発達の途上国で、注射針の使い回しをさせないデザインの注射器。
凄く単純な作りなのだが、そこには人の命を救う程の意味が込められている。