以前、こちらで紹介した震災復興支援ミュージカル「あの空をこえて」の公演は
去る1月17日(火)、阪神淡路大震災発災から17年目の日、無事幕を閉じる事ができました。
満員御礼でした。ご来場下さった皆さま、本当に有難うございました。
神戸新聞の写真と記事を転載します。
大手前大(西宮市)と同短大(伊丹市)の学生たちが、阪神・淡路大震災後に学内であった復興イベントを基に、手作りしたミュージカル「あの空をこえて」を17日、尼崎市のピッコロシアターで上演した。被災しながらも「数え切れない奇跡の上に生きている」というメッセージを発信。2回公演で計約800人が訪れ、熱演に見入った。
同短大60周年記念事業の一環として企画し、映画監督の塩屋俊・客員教授がプロデュースした。
物語は、震災で姉を亡くした大学生が17年前の母校にタイムスリップ。心に傷を抱えた学生が、復興祭開催に向け、仲間や家族と衝突しながら成長していく姿を描いた。
昨年2月から猛練習を始めた。その直後に東日本大震災が発生したため、脚本を変更して3・11の要素も入れた。
主役の野島駿輔さん(20)は「若い僕たちも一生懸命考えているんだと伝えたかった」。観劇した芦屋市の中島良子さん(70)は「震災の記憶がない世代が思いを引き継いでくれてうれしい」と話していた。(金山成美)(2012/01/18 11:50)
キャストは大手前大学の学生というのはもちろん、
劇中歌の伴奏も、同大学の在校生やOBの皆さんらによる生バンド演奏でした。
演技も歌もダンスも素人の学生たちがそれらの統合エンタテインメントである
ミュージカルをやるというだけで凄い事なのに、
さらに生演奏による歌の伴奏というのは、当初は祈るような思いでした。
でも、そういう学生公演だからと言って、
楽曲の難易度というかレベルというか、
変に学生向けにするつもりは僕自身に一切ありませんでした。
それは、前掲の投稿に書いた通り、
僕には僕なりの想いや考えがあってこの作品と真正面から取っ組み合おうと考えていたし、
この作品を通して表現したい事があるとエントリーしてきた学生たちそれぞれの想いや
このプロジェクトを企画した塩屋さんや大手前大学さんの考えをリスペクトしていたし、
そして何よりも、テーマにもなっている2つの震災の被災者の方々を想えば、
結果論としてのお客さん判断に「学生だから」はあったとしても、制作上にそれはありませんでした。
そうして、昨年の8月くらいから具体的な楽曲づくりがスタートしましたが、
テーマソング、劇中歌、音響劇伴含めた合計19曲は、
僕らしさを出す事が出来、わりとジャンルボーダーレスな具合のレパートリーになったと思います。
特に、ジャンル的に言えば、
ザ・合唱曲、バラード、ソウル、ディスコ、そして、ハードロックまで
何でもありな歌の伴奏を支えてくれたバンドメンバーには本当に助かりました。
僕を除いて左から
元木太郎くん Bass/バンドマスター
栗本靖弘くん Drums
太田善規くん Guitar
東沙里佳さん Keyboard
小倉悠吾くん(THE OPENING CLOUD) Guitar
※ バンドメンバー各位、リンクはわかる範囲で貼っただけなので、
貼ってほしいリンク先、別のリンク先にして欲しいなどあったら、遠慮なく言ってください。
元木くんは、主にBIG BANDで活動する大手前大学のジャズ研Jazz Sky Scraperを立ち上げた人で、安心の対応力。
塩屋俊監督作「ふたたび 〜Swing me again」にもベース出演。元木くんの遊びながらの経過音、好きです。
栗本くんは、同ジャズ研所属。要所でのレイドバックなグルーヴと、派手なオカズで今回の作品を華やかにしてくれました。
ドラムの小細工は僕大好きなので、練習も本番も聴いていて愉しかったです。
太田くんは、ほんとうに急遽参加してもらったにも関わらず、臨機なリズムギターを頂戴しました。
普段は結構無口で柔らかい印象だけど、秘めたるfunkinessを持ってますねー。
東さんは、繊細なピアノとエレピを弾いてくれた美人ピアニストです。元々はクラッシック畑だそうですが、
時々垣間見せる演奏からは今作には無い感じのもっと粘っこいグルーヴも聴いてみたくなりました。
小倉くんは、自身のブログでも母校愛を吐露している大手前大OBで、現在はTHE OPENING CLOUDでボーカル&ギターを
務める、かっこいい美声とヤンチャなギターテクの持ち主。随所で遊んで貰い、白熱のリードギターを頂戴しました。
今後のみんなの活躍も楽しみです。
また、是非、どこかでご一緒させて頂きたいメンバーでした!
そして、キャストの学生たち。本当に彼らは頑張った。
彼らには今だから改めて知って欲しい。すでにお手本のある既成曲を歌うことと、
僕が入れた仮歌は有れども、完全なる書き下ろし曲を自分たちで作っていくことの圧倒的な違いを。
とても大変で、凄いことをやったんですよ。
そして、本番は、彼らの演技も歌もダンスも、も〜全部まっすぐに一生懸命。
だけどね、その一生懸命さも、中途半端だったら、誰も感動しないし、応援しないでしょう。
僕は客席の後ろと、舞台の袖を行ったり来たりしながら、お客さんの様子をみていましたが、
彼らの全力でひたむきな姿をみて、物語に引き込まれ、涙を流し、笑顔になっていたようにみえました。
18人の学生キャスト全員に、僕はよくやったね!と伝えたい。
野島駿輔くん、高木慧一くん、坂口聖祉くん、中野聖隆くん、永岡佑介くん、森田純貴くん、原田絵莉さん、
渡邊彩さん、吉野有紗さん、峰松布美さん、上田紗千さん、小倉愛美さん、川西秀美さん、長濱愛美さん、
福場翔太くん、塩見裕紀くん、廣瀬竜也くん、阪本敬克くん
昨日、たまたま昨年8月下旬にキャスティングオーディションをした際の資料が出てきたんですが、
今の彼らは顔つきが違う。今の方が凛々しく、美しく、生き生きしてます。
4ヶ月半で彼らは大きく成長したんだなと実感しました。
今回の制作段階においては、僕が東京、現場は関西という事で、
基礎的な歌の稽古を中心にボーカル講師の寿涛大介さんと古川真帆さんに
見ていただきました。音源と楽譜をお送りしつつ、リモートで学生の状態を確認し、
キー調整やアレンジを考えるという作業にお付き合いいただき、大変助かりました。
そして、僕が作った曲をバンド演奏を伴ってキャストのみんなが歌ったり、
また僕の所で作り込んだ劇伴を会場に流すにしても、最後の音のアウトプット口である
音響の西角秀紀さん無くしてはお客さんに届きません。
本当にお世話になりました。
また、今回の歌は完全に詞先だったし、音響劇伴もシナリオあってのことだし。
脚本(+作詞)の前田有貴さんには、本当に敬意を表したいと思います。
素晴らしい脚本だったと思います。
個人的な話としては、主人公の圭と、その姉の容子は、音楽が大好きで仕方ない大学生なんです。
それは、僕自身のことと完全に重なり、大学時代の悩み、サラリーマン生活を経て、
再び作曲家に転身することにした決断、僕としてはいろんな事を投影して考えてしまう。
この作品は、僕自身の物語でもあると思える程に、
僕にとっては特別な重たさを持った大好きなシナリオでした。
そしてこの方、演出のさどやんこと、佐渡山順久さんは、
自身が阪神大震災で、尼崎にて被災したのだそう。
それだけに、僕には計り知れない次元での作品に対する想いがあったことと思います。
演技の事は僕は素人なので、巧い言い方がわかりませんが、
制作の話や稽古での指導から察するに、表現のもとになる感情のベクトルに、
とても緻密な方だと思いました。
今回、お芝居の音楽は初担当だったので、
たくさん勉強させていただきました。心より感謝です。
ちなみに、さどやん制作の次の舞台があるようですよ。
→ QUO VADIS
他にも、演出助手の佐藤智美さん、客演の角谷翠里さん、
ダンス講師&コレオグラファーの笹野佳奈子さん、二の丸奈央さん、
繊細な照明で視覚演出を下さった海老澤美幸さん、
大手前大学の福井理事長、野坂さん、二階堂さん、奥上さん、Shionちゃん、
舞台装飾やメイクなどで支えてくれた大手前大学・短大の学生のみなさん、
ウィル・ドゥの岩崎さん、赤井さん、森口さん、大谷さん. . .
挙げてさせていただいたらキリがありません。
あと、この仕事が決まった直後に、ミュージカルを鑑賞したい!と騒いでいたら、
ブロードウェイミュージカルに連れてっていただき、沢山のご指南をして下さった、
永田さん(DISTANT DRUMS)、森田さん(FACEBOOK JAPAN)ご夫妻、改めて有難うございました。
そして何より、本作に僕を抜擢して下さった塩屋俊さんには心から御礼申し上げます。
以上、いつになく真面目な長文になってしまいました。
それだけ、僕自身、思い入れを強くした作品だったとご理解ください。
この作品に関わった僕は、お芝居の幕が降り、東京に戻った今、
気持ち新たに、少しでもよい音楽を作れるよう、
また、益々精進したいと思って止みません。
「あの空をこえて」、愛して止まない作品になりました。
すべてのみなさん、有難うございました。
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